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病理診断科

病理診断科

医師紹介

植田 初江
医師名
植田 初江
職位
病理診断科 部長
医師名
服部 公亮
職位
病理診断科 非常勤(大阪医科薬科大学)
医師名
松本 学
職位
病理診断科 非常勤(国立循環器病研究センター病院)
医師名
波多野 裕一郎
職位
病理診断科 非常勤(大阪医科薬科大学)
医師名
雨宮 妃
職位
病理診断科 非常勤(国立循環器病研究センター病院)

診療内容

病気を適切に治療する為には、適切な診断が必要になります。人体由来の細胞や組織からつくられたガラス標本を、顕微鏡で観察して診断するのが病理診断です。特に「がん」(悪性腫瘍)では、病理診断は最終診断として大きな役割を果たします。病理診断には次のようなものがあります。

1) 細胞診断

痰や尿中の細胞を顕微鏡で調べて、がん細胞の有無を判定するのが細胞診断(いわゆる「細胞診」)です。子宮頚部、甲状腺や乳房などから細胞を採取し、調べたりもします。一例として、尿中にみられた膀胱がんの細胞を示します。正常細胞に比べてがん細胞は、核が大きく、色も濃くなっています。このように正常と違うことを異型と言います。実際には正常とがん細胞の間で、種々の程度の異型がみられますので、「がんの疑い」や「異型の比較的弱いがん細胞」といった診断も出てきます。

尿細胞診

矢印(→):正常細胞
矢頭(>):がん細胞(明らかな)

2) 生検組織診断

胃・大腸・肺などの内視鏡検査では病変部の一部をつまみ採って、組織として観察することが多く行われます。このような検査を「生検」といい、その診断を生検組織診断と呼びます。例として、大腸がんの組織を示します。がん細胞が真中に腔をつくって並ぶのがみられ、元々の(分泌)腺組織に類似していることから腺がんという分類になります。

がんは周囲破壊性に増殖し、転移といって血行性・リンパ行性に離れた組織に移って行く性質がありますが、そういった性質がなく、局所で次第に大きくなるものの生命にまで危害をおよぼさない良性腫瘍もあります。腺がんに対して、良性のものは腺腫とよばれていますが、大腸のポリープで見つかることもよくあります。腺腫はがんより異型が弱く、おとなしい感じです。

このように、腫瘍が悪性か良性かを診断するのも病理診断の重要な役割で、その後の治療方針に大きく影響します。

【大腸の腫瘍】

正常
線種
腺がん

3) 手術で摘出された臓器・組織の診断

摘出された臓器・組織について、どのような病変がどの程度進行しているのか、手術で採り切れたか、追加治療が必要か、がんの場合、タチの悪さや転移の有無など、治療方針決定に役立つ情報を臨床医に提供します。

4) 手術中の組織診断

内視鏡検査などで手術前に病理診断がついていれば良いですが、病変が体の深部にあり、生検が難しく診断がついていない時にこの検査を行います。手術中に病変から組織を採取し、凍結法により15分程度でガラス標本を作製し、診断します。診断結果は執刀医に連絡され、手術方針が決定されます。病変が採りきれたかどうかの確認のためにも、術中迅速診断は役立ちます。

5) 病理解剖

ご遺族の承諾のもとに、病死されたご遺体を解剖させて戴くのが「病理解剖」です。病気の診断や進行具合、さらに治療の効果といったことについて調べ、臨床医とともに検討します。

一例として、剖検で得られた糖尿病の腎臓の糸球体の病変を示します。糸球体に赤く染まる物質が球状に沈着し、細動脈壁も赤く肥厚・変性しています。

糖尿病の腎病変

正常の腎の糸球体
糖尿病の腎の糸球体

6) おわりに

最近の医学の進歩は目覚ましく、病理診断においても、細胞に表現される特定の蛋白質や糖鎖の同定、さらにDNAレベルの検索が行われています。これらの新しい病理組織検査法が、詳細な診断や新しい治療法(分子標的といった)に寄与するようになってきています。

検査実績

年間検体数(2023年度)

検査 件数
病理検査 2,423
迅速病理検査 71
迅速細胞診 47
婦人科細胞診 1,090
その他細胞診 421
病理解剖 1

論文・学会発表

Ⅰ.学会活動

  1. 第112 回日本病理学会(2023年 4月14-16日・下関市  コロナ関連心筋傷害の病理 共同演者
  2. 第45回心筋生検研究会 2023年11月17-18日 新潟大学循環器内科(現地開催)  座長 植田初江
  3. 第70回日本心臓病学会 2023/9/8-10 東京 (東京大学心臓外科)  臓突然死と心臓病理   共同演者
  4. 第69回日本病理学会秋季大会コンパニオンミーティング 座長 “どうする心臓病理:心筋生検、剖検心の扱い”

Ⅱ.学術論文

  1. Amemiya K, Yonemoto Y, Ishibashi-Ueda H, Matsumoto M, Ohta-Ogo K, Ikeda Y, Kobayashi J, Fukushima S, Fujita T, Hatakeyama K. Morphological characteristics of cardiac myxoma causing embolism: a series of 40 years of experience at a single institute. Virchows Arch. 2023 Feb;482(2):377-384. doi: 10.1007
  2. Kawagoe Y, Otsuka F, Onozuka D, Ishibashi-Ueda H, Ikeda Y, Ohta-Ogo K, Matsumoto M, Amemiya K, Virmani R, Early vascular responses to abluminal biodegradable polymer-coated versus circumferential durable polymer-coated newer-generation drug-eluting stents in humans: a pathological study. Euro Intervention. 2023 Mar 20; 18(15):1284-1294. doi: 10.4244/EIJ-D-22-00650. PMID: 36448921; PMCID: PMC10018292.
  3. Murakami Y, Nishigori M, Yagi H, Osaki T, Wakabayashi M, Shirai M, Son C, Iba Y, Minatoya K, Kusano K, Tomita T, Ishibashi-Ueda H, Matsuda H, Minamino N. Serum proteomic identification and validation of two novel atherosclerotic aortic aneurysm biomarkers, profilin 1 and complement factor D. Proteome Sci. 2023 Aug 5;21(1):11. doi: 10.1186/s12953-023-00212-x. PMID: 37543598; PMCID: PMC10403969.
  4. Ogino H, Iida O, Akutsu K, Chiba Y, Hayashi H, Ishibashi-Ueda H, Kaji S, Kato M, Komori K, Matsuda H, Minatoya K, Morisaki H, Ohki T, Saiki Y, Shigematsu K, Shiiya N, Shimizu H, Azuma N, Higami H, Ichihashi S, Iwahashi T, Kamiya K, Katsumata T, Kawaharada N, Kinoshita Y, Matsumoto T, et al. Japanese Circulation Society, the Japanese Society for Cardiovascular Surgery, the Japanese Association for Thoracic Surgery and the Japanese Society for Vascular Surgery Joint Working Group. JCS/JSCVS/JATS/JSVS 2020 Guideline on Diagnosis and Treatment of Aortic Aneurysm and Aortic Dissection. Circ J. 2023 Sep 25;87(10):1410-1621. doi: 10.1253/circj.CJ-22-0794. Epub 2023 Sep 1. PMID: 37661428.
  5. Nishikawa T, Shiba M, Ikeda Y, Ohta-Ogo K, Kondo T, Tabata T, Oka T, Shioyama W, Yamamoto H, Yasui T, Higuchi Y, Ishibashi-Ueda H, Honma K, Izumi C, Higo S, Hatakeyama K, Sakata Y, Fujita M.
    Tenascin-C as a potential marker for immunohistopathology of doxorubicin-induced cardiomyopathy. Eur Heart J Open. 2023 Oct 9;3(5):oead104. doi: 10.1093/ehjopen/oead104. PMID: 37908440; PMCID: PMC10613965.
  6. Koda Y, Tsukube T, Hoshino M, Yagi N, Ishibashi-Ueda H, Okada K. Structural properties in ruptured mitral chordae tendineae measured by synchrotron-based X-ray phase computed tomography. J Synchrotron Radiat. 2023 Sep 1;30(Pt 5):995-1002. doi: 10.1107/S1600577523005167. Epub 2023 Aug 18. PMID: 37594861; PMCID: PMC10481270.
  7. Uchihara Y, Saito K, Motoyama R, Ishibashi-Ueda H, Yamaguchi E, Hatakeyama K, et al. Neovascularization From the Carotid Artery Lumen Into the Carotid Plaque. Confirmed by Contrast-Enhanced Ultrasound and Histology. Ultrasound Med Biol. 2023 Aug;49(8):1798-1803. doi: 10.1016/j.ultrasmedbio.2023.04.002. Epub 2023 May16. PMID: 37202244.
  8. Kawai Y, Watanabe Y, Omae Y, Miyahara R, Khor SS, Noiri E, Kitajima K,Shimanuki H, Gatanaga H, Hata K, Hattori K, Iida A, Ishibashi-Ueda H, Kaname T, Kanto T, et al. Exploring the genetic diversity of the Japanese population: Insights from a large-scale whole genome sequencing analysis. PLoS Genet. 2023 Dec 7;19(12):e1010625. doi: 10.1371/journal.pgen.1010625. PMID: 38060463; PMCID: PMC10703243.
  9. Amemiya K, Nishihira M, Ishibashi-Ueda H, Ohta-Ogo K, Ogo T, Ikeda Y, Hatakeyama K, Sasaki H, Ogino H. A 5-year survivor of endarterectomy for sclerosing undifferentiated intimal sarcoma of the pulmonary artery: Importance of clinical suspicion and careful histologic evaluation. Pulm Circ. 2023 Nov 29;13(4):e12315. doi: 10.1002/pul2.12315. PMID: 38034856; PMCID: PMC10687324.

Ⅲ.研究活動

  1. AMED研究プロジェクト「慢性心筋炎の診断基準策定のための実態調査」今中班
    研究開発分担者 2025年3月まで
  2. “COVID19ワクチン接種後心筋炎の心筋病理の収集・解析” と国立感染症研究所との共同研究
  3. 同志社大学生命医科学部 (池川雅哉教授との炎症性心筋症動物モデルの開発)